能登半島地震の被災地取材では、あらゆる場所でトイレを巡る切実な問題に遭遇した。汚物で使用不能になった便器、数人で使わざるを得ない携帯トイレ、課題を抱える仮設トイレ-。これまでも災害のたびに同じ問題が起きていたが、もうこれ以上繰り返さないためにはどうすればいいのか。現地で聞いた被災者の声を基に、専門家に「これから」の備えについて聞いた。(時事ドットコム編集部 川村碧)
内閣府によると、仮設トイレは、国が被災自治体からの要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」で配備したもののほか、自治体や民間が独自に調達したものが使われている。担当者は「国の支援では洋式を優先しているが、数が足りず、和式も送っている。
要望のあった自治体には、和式を洋式にできる後付けのアタッチメントも送っている」と説明したが、加藤代表は「足腰が不自由な人や洋式しか知らない子どもなど、和式を使えない人もいる」と指摘。「和式が悪いと言っているわけではないが、過去の災害の経験から災害時にはミスマッチだと分かっているはずなのに、なかなか改善されない」と語る。被災地の中でも、場所によって仮設トイレの設置環境に差はあるのだろうか。記者は石川県珠洲市、輪島市、穴水町の避難所や役所など7カ所の仮設トイレを回り、実態を調べてみた。 設置場所は建物正面や敷地内の人通りの多い場所がほとんどで、ドアに男女別や洋式かどうかの張り紙がしてあることが多かった。広い個室や手洗い場を備え、車で移動できる「トレーラー型」が住民に喜ばれていた一方、中には和式しかない避難所や、照明がなく夜は個室内が真っ暗になる仮設トイレもあり、場所によって「トイレ格差」があることが感じられた。
加藤代表によると、長期化する避難生活で仮設トイレの安全を守るためには、いろいろな配慮が求められる。例えば、個室を男女で分けたり、親子や介助者が一緒に入れる「共用」を設けたりすることで、使いやすい環境を保てるという。便を貯めるタンクの影響で、多くの仮設トイレには一定の段差ができてしまうが、歩行が困難な人には障害となるため、スロープを作れないか工夫すると良い。照明があり人目に付きやすい場所に設置することも、利用しやすさや防犯につながる。
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