なぜナイキのスニーカーは人気になったのか。アトモス創業者の本明秀文さんは「それはデザイン性の高さだろう。ナイキだけがわれわれの別注(特別注文)を受け付けてくれ、その結果、数量限定の独特なデザインの靴が、スニーカーブームを巻き起こした」という――。
僕たちを目の敵にしていたあるメーカーからは「並行輸入屋のあんたたちには一生アカウントを開けない」と言われたこともある。だからこそ分かるのだけど、偏見を持たず、リアルなマーケットを柔軟に取り込もうとするナイキの姿勢こそが、20年後に売上高3000億円企業になるのか5兆円企業になるのかの違いだと思う。
当時はそこまで差がなかったのに、今やナイキは5兆、僕らを目の敵にしたメーカーは3000億と大差がついている。自由を愛する僕は、ナイキの社風を好んで、そこに自由のイメージを重ねていた。ナイキを売ろうと心に決めていた。アメリカで最大手のスポーツチェーン、フットロッカーやNo.2のフットアクションによるナイキの別注スニーカーは、スニーカーヘッズ(強烈なスニーカーファン)の憧れの的だった。このころ、ナイキが別注相手に選んでいたのは、一定量をさばけるチェーン店のみだった。 それもそのはず。当時のチェーン店の別注とは、いわゆる“型止め”(その店にのみ卸し、他店舗に流通させない方法)のことを指す。ナイキはブランドの成長過程において、「質よりも量」を優先していたのだ。だから当然、アトモスのような数をさばけない個店レベルの店が、ナイキに別注するなんてことは、夢のまた夢といっても過言ではなかった。
アトモスをオープンしてわりとすぐに、ナイキジャパンにいたマーカス・タユイと仲良くなった。マーカスは、僕のことを面白がってくれるちょっと変なやつで、「ナイキのアカウントが開いて良かったね」と、喜んでくれていた。ある日、喫茶店で僕が、「もっと面白いことがやりたいんだよ。僕たちみたいな個店でも別注モデルを作りたいんだ」と話すと、「じゃあとりあえず、絵型を描いてみてよ」とマーカスが鉛筆を渡してきた。 てっきり「実績のないアトモスじゃ、そんなこと絶対にできっこないよ」とでも言い返されると思っていた僕は、半信半疑ながら、その場でコピー用紙の裏に鉛筆で絵を描いた。実は、以前から、「『ターミネーター』のジョージタウンカラーが『エア フォース 1』でもあれば、確実に売れるのになぁ」なんて構想していたので、それをイメージしながら、「ここのパーツをこうして、ここをこうして……」と呟きながら、「エア フォース 1」を描いた。すると、「生産枠が決まっているから『エア フォース 1』は1型だけ。もう1足は別のモデルにして」とマーカス。「じゃあ、反転カラーの方は『ダンク』でいいよ」と言うと、マーカスは「オッケー、オッケー」と、拍子抜けするぐらいの軽いテンションで、「夢は叶うんだ」とだけ言い残して、去っていった。
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