【NQNニューヨーク=川上純平】10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所（NYMEX）で原油先物相場は3日ぶりに反落した。WTI（ウエスト・テキサス・インターミディエート）で期近の6月物は前日比1.00ドル（1.3%）安の1バレル78.26ドルで取引を終えた。複数の米連邦準備理事会（FRB）高官が早期の利下げに慎重な見方を示した。外国為替市場でドルが円などに対して買われ、原油先物の割高感が意識
された。
ダラス連銀のローガン総裁は10日、インフレ圧力が高まる可能性を踏まえ「利下げを考えるには早すぎると思う」と述べたと伝わった。FRBのボウマン理事も、インフレの抑制に向けてFRBは現行の政策金利を長く維持するとの見方を示した。米長期金利が上昇したことからドルが強含み、原油先物の売りを誘った。 ミシガン大学が10日発表した5月の消費者態度指数（速報値）は67.4と、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想（76.0）を下回った。個人消費の弱含みが原油需要の伸び悩みにつながるとの見方も相場の重荷だった。 もっとも、原油相場は下値の堅さも意識された。イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突を巡り、カイロでの休戦交渉が合意に達しなかったと伝わった。中東周辺からの原油供給が滞るとの見方は根強く、原油先物には買いも入った。
ニューヨーク金先物相場は続伸した。ニューヨーク商品取引所（COMEX）で取引の中心である6月物は前日比34.7ドル（1.5%）高の1トロイオンス2375.0ドルで取引を終えた。中東情勢を巡る地政学リスクが意識され、相対的に安全な資産とされる金の先物に買いが入った。
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