「serial number11『神話、夜の果ての』」が昨日7月5日に東京・東京芸術劇場 シアターウエストで開幕した。
この作品がどこからやって来たのか、書いたわたしにも正直わかりません。構想をまとめるのに時間をかけるほうなのですが、この作品に限っていえば、珍しいことに構想ありきで、資料を集め、準備をしました。なのになかなか書き始めることができなかった。しかし、あるときさあ書こう、書き始めるのは今日だ、と思う日があり、書き始めました。テーマもあらすじも決まっていたのに、こんな話になるなんてわたしは想像もしていなくて、主人公のミムラが母と共に、ある架空の宗教団体の本部に行くシーンを書き始めたときに、物語の「→(ヤジルシ)」がはっきりと立ち上がったのを感じました。大人のリュックを背負い、持ちきれなかった服で着ぶくれして、母の背中を懸命に追ったミムラ。健気で愛おしい小さい背中が鮮やかにうかびます。その背中を追いかけるようにわたしはミムラの物語を書きました。でも、何もできなかった。何度くりかえしても、彼はその結末からたぶん逃れられない。自分が書いた登場人物の運命に対してこんなにも無力感を感じたのははじめてかもしれません。宗教をある意味否定してまうような物語を描きながら、わたしはずっと祈るような気持ちでした。そん
この作品がどこからやって来たのか、書いたわたしにも正直わかりません。構想をまとめるのに時間をかけるほうなのですが、この作品に限っていえば、珍しいことに構想ありきで、資料を集め、準備をしました。なのになかなか書き始めることができなかった。しかし、あるときさあ書こう、書き始めるのは今日だ、と思う日があり、書き始めました。テーマもあらすじも決まっていたのに、こんな話になるなんてわたしは想像もしていなくて、主人公のミムラが母と共に、ある架空の宗教団体の本部に行くシーンを書き始めたときに、物語の「→(ヤジルシ)」がはっきりと立ち上がったのを感じました。大人のリュックを背負い、持ちきれなかった服で着ぶくれして、母の背中を懸命に追ったミムラ。健気で愛おしい小さい背中が鮮やかにうかびます。その背中を追いかけるようにわたしはミムラの物語を書きました。でも、何もできなかった。何度くりかえしても、彼はその結末からたぶん逃れられない。自分が書いた登場人物の運命に対してこんなにも無力感を感じたのははじめてかもしれません。宗教をある意味否定してまうような物語を描きながら、わたしはずっと祈るような気持ちでした。そんな物語を、命を削るように、命に火を灯すように、俳優たちが演じてくれています。開幕致しました。ぜひ劇場にお越しください。
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