「災害リハビリテーション」という言葉をご存じだろうか。リハビリテーションの視点から災害に遭った人が、自立した生活を早く送れるように支援していく活動全般を指す。家屋倒壊などによる直接的な死を免れても、そ...
「災害リハビリテーション」という言葉をご存じだろうか。リハビリテーションの視点から災害に遭った人が、自立した生活を早く送れるように支援していく活動全般を指す。家屋倒壊などによる直接的な死を免れても、その後の避難生活で命を落とす人は少なくない。能登半島地震では、北海道からもリハビリテーションの専門家が現地入りし、被災者の対応に当たった。（くらし報道部デジタル委員 升田一憲）
大規模な災害が起きると、医師や看護師らからなる災害派遣医療チーム（DMAT、ディーマット）が現地にいち早く駆け付け、現場でけがをした人たちの命を守る。能登半島地震でもチームの活躍が新聞やテレビで連日報道された。 DMATが主に災害直後の治療や、被災地以外の病院にけが人を搬送するのに対し、災害リハビリテーションは災害からおよそ数日たち、避難所にいる人を対象にしている。実際、慣れない避難所暮らしは侮ることができない。動かずに生活が不活発になると呼吸や循環器疾患、血栓症、認知機能の低下などさまざまな症状が表れる可能性がある。特に能登半島地震では、被災者の多くが高齢者で今も不自由な避難生活を余儀なくされている。札幌渓仁会リハビリテーション病院（札幌市中央区）の理学療法士鈴木康太さん（39）の下に一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会（JRAT、東京）からそんな内容の支援要請のメールが来たのは地震から5日後の2024年1月6日だった。
JRATは各都道府県にも地域JRATを置き、北海道災害リハビリテーション推進協議会理事も兼ねる鈴木さんは前日に道内関係者とオンライン会議システムのZoom（ズーム）で対策会議を開いていた。事前の心積もりもあって、すぐに人選を始めた。 2011年3月の東日本大震災では、長引く避難生活から身体機能や筋力が低下し、体力の弱る人が続出。災害リハビリテーションの必要性が再認識された。13年にリハビリテーション関連10団体で大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会が発足。20年に、現在の日本災害リハビリテーション支援協会に名称が変更されている。
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