高齢期に住み替える米国、スウェーデンと違って、日本の高齢者は我慢して住み続けてきたが……。
1988年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。2003年より組織人事コンサルティング、研修、講演などの活動を行う。日本、米国、ドイツ、スウェーデンの60歳以上の人を対象とした「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」が、5年に一度、内閣府によって行われています。第9回となった2020年度の調査結果を見ると、ある設問に対する回答の大きな変化が目を引きます。
それは「現在、住んでいる住宅の問題点」という設問です。「何も問題を感じていない」という人が31.9%と、第8回(2015年度)の59.7%からおおよそ半減しました。第5回(2000年度)は45.0%、第6回(2005年度)は55.0%、第7回(2010年度)は55.5%となっていて、「住んでいる住宅に問題を感じていない」人が増加傾向にあったものが一転、大きく減ったことになります。 住んでいる家の問題点として、「地震・火事などに対する防災設備が不十分である」が、前回調査の6%から20%と最も増えました。次に、「住まいが古くなり、いたんでいる」が、17%から30%に増加。続いて、「住宅の構造(段差や階段等)や造りが高齢者には使いにくい」が7%から20%となっています。
高齢者に関する研究活動を行う筆者が、このデータから想像できるのは、まず、防災意識が非常に高くなったということ。地震だけではなく、豪雨なども含めれば災害は毎年のように起こっており、被災者は人口比率以上に高齢者に偏っていることも分かっていますから、住んでいる家に不安を覚える人が多くなったのでしょう。2番目の「住まいが古くなり、いたんでいる」も、災害時に家が耐えられるかどうかという意味で、防災面の不安を表しているのかもしれません。 もう一つは、「長い高齢期にしっかり備えよう」とする人が増えたことでしょう。「家にいろいろと不都合はあるけれど、(この先の人生がそう長いわけではないから)我慢しよう」というのではなく、長い高齢期を見据え、身体的な衰えも視野に入れながら、住環境を見つめ直そうとする人が増えているのではないかと思います。なお、国際比較では、「何も問題を感じていない」人の割合は、日本の3割に対して、米国が6割、ドイツとスウェーデンでは7割を超えています。この差は、日本の高齢者のかなり多くが、“築年数の長い一戸建て”に住んでいることが原因であるように思います。
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