「大阪王将」のフランチャイズ店でのナメクジの発生などの不衛生な状態を告発した元従業員が、フランチャイジーであるファイブエム商事の被害届により威力業務妨害の疑いで逮捕された。本件を概要だけ聞いて「企業に問題があっても、訴えられる可能性があるなら内部告発なんてできない」「たとえ内部告発されても、告発者を訴えればいいのか」などと判断するのは早計だ。本記事では、今後類似の騒動が発生しないために、時系列で何が起きたか、そして何が問題だったのかを解説する。
2022年7月、全国展開している中華料理チェーン「大阪王将」のフランチャイズ店「大阪王将 仙台中田店」の元従業員を名乗る人物が、同店調理場でのナメクジの発生などの不衛生な状態を告発する内容をSNS上に投稿した。それが瞬く間に全国的な話題となり、会社や行政を巻き込む騒動となったことを覚えておいでだろうか。仙台中田店を運営していたフランチャイジーであるファイブエム商事は、元従業員のSNS投稿によって業務を妨害されたとして被害届を提出しており、24年2月、内部告発した元従業員が威力業務妨害の疑いで逮捕されてしまったのだ。そして3月に入り、元従業員は偽計業務妨害罪で起訴されたと報道された。「大阪王将 仙台中田店」(出典:同店舗の公式Facebook)本記事では、時系列で何が起きたか、そして何が問題だったのかを解説する。今後類似の騒動が発生しないために、従業員かつネットユーザー側の心得と、企業のあるべき対応についても述べていきたい。発端は22年7月、「大阪王将...
元従業員が店長とのLINEで「ナメクジ超大量発生してます」「ザルにもいるから気をつけて」とのやり取りを切り取って投稿された写真には、確かに調理場内で撮影されたと思われるナメクジが映りこんでおり、閲覧したネットユーザーからも「大阪王将ひどいな……」「徹底的に調査してもらいたい」などと、店舗の衛生管理に対する批判が殺到する大炎上状態となった。SNSでの告発を受け、後日保健所による調査が実施されたが、結果的にナメクジや有害昆虫などは見つからなかったという。そのうえで市側は「調理場の清掃に行き届いていない部分があり、指導した」とコメント。食品衛生法に基づき清掃指導などをおこなったことを明らかにした。ただし当該調査は抜き打ちではなく、事前に調査日程が共有された上で実施されたこともあり、SNS上では「この間に徹底的に清掃しているのでは?」などと、結果の有効性を疑問視する声もあった。
運営母体である大阪王将はその後、公式Webサイト上で謝罪し、問題が起きた仙台中田店と、同じくファイブエム商事が運営するもう1店舗を当面の間、臨時休業すると発表。翌月、大阪王将はファイブエム商事とのフランチャイズ契約を解除し、臨時休業中の2店舗も閉店することとなった。23年末にファイブエム商事側から被害届が提出され、捜査の結果、告発者の元従業員男性は「会社が運営する飲食店が不衛生であるかのような内容をSNSに投稿し、会社の業務を妨害した疑い」によって警察に逮捕された、との報道が飛び込んできたのだ。 この展開にはネット上でも「内部告発は事実だったのに、なぜそれで逮捕されるの?」「会社に訴えても改善されなかったから告発したのに、それをSNSで書くと威力業務妨害になるの!?」「公益通報した人は保護されるんじゃないのか? これじゃ不正の内部告発できなくなる!」などと、困惑する人が続出する事態となってしまった。
この知らせがあった当時はまだ逮捕されただけの段階であったため不明点も多かったが、元従業員が逮捕時の罪状(威力業務妨害)とは異なる「偽計業務妨害罪」で起訴されたことで、本件の「告発者側の問題点」がようやく明らかになった。
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