就職活動での親の存在感が高まっている。就職情報会社の2023年度の調査によると、企業が内定学生の親に入社の意向を確認する「オヤカク」の連絡を受けた親が半数を超えたことが分かった。大学でも親向けの就活説明会や個別相談会を開く動きが広がっている。学生が就職先を決めるための活動に、なぜ親が参戦するようになったのか、背景を探った。(時事ドットコム編集部 川村碧)
実際の流れとしては、内定を通知する時に学生に「保護者の方は弊社をどう思っていますか?」などと尋ね、親の反応を確認。疑問点や悩みがあれば詳しく話を聞き、親に会社のパンフレットを送ったり、担当者が電話で話したりして不安を取り除いている。残業の有無や諸手当の仕組みなどを心配する声が多く、たいていは会社側の説明で納得してもらえるという。就職情報会社マイナビが24年1月に実施した「2023年度就職活動に対する保護者の意識調査」によると、子どもが内定をもらった親851人のうち、企業から「内定確認の連絡」を受けた割合は52.4%で、初めて半数を超えた。オヤカクについて調査を開始した18年度の17.7%から大幅に増加した。子どもの内定した企業に反対したことがあるかを尋ねた項目では、「ない」が96.1%、「ある」が3.9%との結果で、子どもの決めた就職先を受け入れる親が大半のようだ。
一方、24年卒内定者意識調査で、内定先に関する意思決定の際、誰かの助言や意見を聞いたかを学生に複数回答で尋ねたところ、「父親・母親」が61.9%で最も高く、「友人(学校内)」の23.9%、「誰の意見も聞かなかった」の21.5%が続いた。マイナビの担当者は「学生の意思決定への保護者の影響は大きいと言え、こうした背景から内定学生の親に同意の確認を行う企業が増えていると考えられる」と分析している。また、出生動向基本調査で夫婦の子どもの数を調べると、一人っ子の割合は30年前に比べ2倍となり、全体の2割を占める。「子どもへの関心が高まり、保護者が就活に介入するようになってきた。企業側は、保護者の心配を解消することが学生の内定辞退の防止につながると考え、オヤカクをするのが常識という雰囲気になっている」と分析する。
今後も少子化が進み親子の距離が近くなれば、就活に親が参戦するのは当たり前となっていきそうだ。しかし、曽和氏は「今の就活状況を知らない保護者のアドバイスが子どもに悪影響を与えることもある」と警鐘を鳴らす。急成長企業や企業間の取引が中心の「BtoB」企業に関する知識が不足していて正しい助言ができないケースや、売り手市場といえども従業員5000人以上の大企業の求人倍率は0.34倍で難関であることを知らず、大手企業を受けるように安易に勧める場合もあるという。
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