今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は、主人公が平安時代の作家、紫式部という異色作。不朽のベストセラー「源氏物語」を映像化するわけではなく、作家の人生を描くわけ…
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は、主人公が平安時代の作家、紫式部という異色作。不朽のベストセラー「源氏物語」を映像化するわけではなく、作家の人生を描くわけだから、バックステージものと呼んでもいいのかな。紫式部は本名不明。吉高由里子さんが演じる本作では「まひろ」と名付けられている。道長役は柄本佑（えもとたすく）さん。2人は幼少期に出会っていたという設定で、長じて身分違いのフォーリンラブ。「妻になってくれ」と熱いキスまで交わすものの、道長と源倫子（黒木華さん）との縁談が進んだことで、倫子を敬愛するまひろが身を引いて、恋に泣く泣く終止符を打つ。このドラマ、平安貴族の描かれ方が、まったく華やかじゃないのも特徴的。宮廷絵巻っぽいのは、倫子の文芸サロンぐらい。能力があってもコネがなくて失脚とか、横暴な権力者にヘコヘコするとか、格差社会の理不尽さをビシバシ突きつけてくる。何だか画面も暗いしね。夜のシーンが多くて、まひろも道長も薄闇の中でもんもんとしているイメージだ。
今月に入って、まひろの父が漢詩を教えていた花山天皇が、道兼にだまされて出家（譲位）してしまった。またまた主人公を追い詰めるストーリー展開が、と思ったら、妻が「これは史実だからね」と教えてくれた。虚実ないまぜの脚本にすっかり翻弄されてます。ていうか、平安時代おそるべし。
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