WBC日本代表、私が考える先発メンバー(田尾安志)
2月に入りプロ野球の各チームがキャンプインしたが、早くも列島は3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)一色の様相を呈している。宮崎で行われている日本代表合宿の盛り上がりようは、ファンの大きな期待の裏返しといえるだろう。
ともすると日本代表に入っただけで有頂天になる選手もいるが、今回の代表メンバーにそういう選手はいない。大舞台に向けて自分の実力を上げるべく、ダルビッシュの一挙手一投足に目をこらし、助言を求める姿を見て、メジャーでも実績を残した選手と同じチームの一員になることはこれだけの刺激をもたらすのだと、改めて感じた。大谷翔平(エンゼルス)らが合流したときの国内組の目の輝きが、今から容易に想像できる。まず1番には大谷を持っていきたい。相手チームからすると、最初からホームランバッターがいるのは怖いもの。ましていきなり大谷なら最大級の警戒を強いることになる。走力も考えると大谷をトップバッターに据えると面白いだろう。打線の中心となる4番には日本の三冠王、村上宗隆(ヤクルト)を据えたい。村上の前を打つ3番は、足のある選手を前に置く狙いから鈴木誠也(カブス)。5番には山川穂高(西武)を推したい。
左翼に吉田、右翼に鈴木が入り、中堅に誰を据えるか。近藤健介(ソフトバンク)に広い守備範囲を任せるのは難しく、周東佑京(同)はここ一番の代走で使いたいところ。ここは日系人のラーズ・ヌートバー(カージナルス)を「7番・中堅」に推そう。打力は未知数なところがあるが、大リーグで場数を踏んでいる経験値に期待したい。 決勝で佐々木朗希(ロッテ)が先発すれば本人にとって成長へのまたとない機会になるが、準決勝で山本―佐々木朗とつないで万全を期す手もあるだろう。そうなれば、決勝は大谷―ダルビッシュの豪華リレーで相手をねじ伏せにいく構想が浮上する。1次リーグから準々決勝までのローテにもよるが、日本が誇る4本柱を勝負どころの2試合で一気に投入する策は、短期決戦では十分にあり得るのではないか。史上最強との呼び声が高い布陣から、日本の3大会ぶりの優勝を当然視しているファンの方もいるかもしれない。ただ、一つの国・地域で1チームをつくればどこも強い。特に米国やドミニカ共和国は日本をしのぐメンバー構成で、高い壁として立ちはだかるだろう。準々決勝以降は一発勝負のトーナメントとあって、どれだけ力があっても運に見放されることはある。準決勝、決勝に進めばノルマ達成、くらいの気持ちで見てはどうだろう。