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「今までは上部構造物の柱がせん断破壊をして建物が倒れるという被害事例がほとんどだったんですけれども、この事例では、めり込んでいるように転倒しているので、おそらく杭(くい)基礎、または地盤に大きな問題が生じたと考えられます」しかし、輪島のビルをよく見ると、建物そのものには大きな損傷がないかわりに、根元の「杭基礎」と呼ばれる構造物が、大きく壊れていたのです(左上)。その要因の一つとして田村教授が注目したのは、パイルキャップと呼ばれる構造物の配置です。杭基礎と建物を接合していて、もし杭が壊れた場合に、二次的に建物を支える”最後の砦”ともなるものです。倒れたビルは、このパイルキャップの配置に、他のビルとの違いがありました。転倒したビル(右)は開口部が広くもうけられた設計だったため、中心部分にパイルキャップが存在しておらず、杭基礎が壊れた際に、二次的に建物を支える力が相対的に低かったのだといいます。
実は、このパイルキャップの設計には明確な基準がなく構造設計者に任されていて、倒れたビルの配置も建築基準法上問題のない状態でした。長く強い揺れにさらされて杭基礎が大きく破壊され、パイルキャップでもビルを支えられなかった。こうした状況が重なって、ビルの転倒に至ったのだと田村さんは指摘します。「基礎が壊れてビルが転倒するというのはこれまでにない被害なので、不幸な条件がいくつもいくつも重なっているのだと思う。その条件を明らかにすれば、今後どういう地盤条件や杭基礎の条件でリスクが高いかということが分かる。メカニズムを解明し、他でも起こりえるとしたら、産官学含めて対応を進めていく必要がある」専門家の調査で、輪島市の中心部では20棟以上で建物が傾く被害が確認されました。専門家は、杭基礎が壊れたことが原因だとみています。そのほとんどが、揺れを大きく増幅する軟弱地盤の上に建っていたことも分かりました。
こうした杭基礎のリスクについて、社会は備えてこなかったのか。実は、建築基準法では、高さ60m以上の大規模な建物など以外は、基礎について、大地震に対する明確な耐震設計の義務はありません。震度6強以上の揺れでも、「倒壊」しないようにする「新耐震基準」が定められている建物の上部に比べ、基礎の耐震化については遅れが生じているのが現状です。そもそも「杭基礎」はビルを支える基礎の一種。強度の高いコンクリートなどでつくられています。その杭を硬い地盤まで打ちこんだり、地盤との摩擦の力を利用したりすることで、軟弱地盤でも建物の重さを支えることができます。1923年に竣工した、日本初の高層ビル、「旧丸の内ビルヂング」を建てる際に使われていた松杭です。当時の杭に期待されていた役割は、今とは少し異なっていたといいます。「これは、旧丸ビルを解体した際に回収して保存した杭です。この杭を5000本以上打ち込むことで、ビルの下の軟弱な地盤を締め固める役割を担っていました。杭基礎は建物の重さを負担するという考え方で、地震時の影響はあまり考慮していなかったというのが、歴史の中の一過程だと思います」それでも旧丸ビルは、19
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