米景気減速か本格不況入りか。米国市場内での議論がヒートアップしているが、米連邦準備理事会(FRB)は断固として利上げと量的引き締め(QT)の合わせ技でインフレ退治を優先させる覚悟だ。対して、欧州経済に関してはスタグフレーション懸念が払しょくできず、欧州中央銀行(ECB)は容易に利上げには踏み切れない。そして日銀は断固として緩和継続の姿勢を明確にしている。結果的に外国為替市場ではユーロと円から
結果的に外国為替市場ではユーロと円から米ドルにマネーの大移動が足元で加速。ドルインデックスがほぼ20年ぶりに108の大台を突破した。110を上回り120まで視野に入ると、いよいよ歴史的ドル高となる。そのような連想が絵空事と切って捨てられない市場環境である。米国不況の前触れとされる逆イールド現象が常態化しつつある。それでも、ユーロや円に比べれば、米ドルは「まだマシな」安全通貨とされる。円が低リスク通貨との「神話」は過去の話となった。とはいえ、米経済にも悲観的な投資家からは米ドルが通貨のキング(王様)といわれるが、裸の王様ではないか。「通貨の大空位時代」というような表現が市場には流れる。駆け込み寺が火事になるごときリスクが回避できず、行き場を失ったマネーが太平洋と大西洋の沿岸を回遊している。豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場
結果的に外国為替市場ではユーロと円から米ドルにマネーの大移動が足元で加速。ドルインデックスがほぼ20年ぶりに108の大台を突破した。110を上回り120まで視野に入ると、いよいよ歴史的ドル高となる。そのような連想が絵空事と切って捨てられない市場環境である。米国不況の前触れとされる逆イールド現象が常態化しつつある。それでも、ユーロや円に比べれば、米ドルは「まだマシな」安全通貨とされる。円が低リスク通貨との「神話」は過去の話となった。とはいえ、米経済にも悲観的な投資家からは米ドルが通貨のキング(王様)といわれるが、裸の王様ではないか。「通貨の大空位時代」というような表現が市場には流れる。駆け込み寺が火事になるごときリスクが回避できず、行き場を失ったマネーが太平洋と大西洋の沿岸を回遊している。豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。