米韓、北朝鮮の核使用対処へ机上演習 戦術核量産に懸念
米政府高官は2日、北朝鮮が2023年の目標に戦術核兵器の大量生産を掲げたことを念頭に「北朝鮮の行動や声明は懸念を増幅させるものだ」と批判した。日本経済新聞の取材に答えた。米軍と韓国軍が北朝鮮の核兵器使用に対処するための机上演習を計画していると言及し、抑止力強化を急ぐと強調した。米政府高官は「米韓は拡大抑止力強化に取り組んでおり、北朝鮮の核使用などの幅広いシナリオへの共同対処に向けた机上演習を含む」と指摘。「これは米韓が計画や情報共有、演習、訓練を拡大するという尹大統領の発言と整合的だ」と言及した。米韓の防衛協力に揺らぎはないと強調するものだ。
一方でバイデン米大統領は2日、ホワイトハウスで記者団に「韓国と共同の核演習を議論しているのか」と問われて「ノー」と語った。その後に米国家安全保障会議（NSC）の報道担当者は声明で「大統領が話したとおり、共同の核演習について議論していない。韓国は核保有国ではない」と断言した。 韓国大統領府は3日、バイデン氏の発言を受け「米保有の核戦力の運用に関する情報共有や共同企画、共同実行案について話し合っている」と改めて説明した。米韓首脳のコメントを踏まえ、米国の核戦力をめぐる両国の意見が食い違っていると受け止める向きがある。 米韓の国防当局は22年11月、北朝鮮が核兵器を使った場合を想定した机上演習を実施することで一致した。北朝鮮の核・ミサイルの脅威が一段と高まり、机上演習の準備を加速させる。NSCの報道担当者は「米国は韓国との同盟へ完全に関与し、全ての米国の防衛戦力を使って拡大抑止力を提供する」と訴えた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、金正恩（キム・ジョンウン）総書記が戦術核兵器の量産を23年の目標に位置づけたと伝えた。新たな大陸間弾道ミサイル（ICBM）や軍事衛星の打ち上げも探り、米韓に対抗する姿勢を鮮明にしていた。