【ニューヨーク=斉藤雄太】19日夕の債券市場で長期金利の指標になる10年物国債利回りが一段と上昇(債券価格は下落)し、16年ぶりに5%を突破した。同日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言で金融引き締めが長期化するとの見方が強まった。米国債需給の悪化懸念も根強く、国債売りが続いた。米長期金利は前日比で0.1%ほど上昇し、5%を超えた。5%の大台に乗せたのは2007年7月以来だ。直近3
【ニューヨーク=斉藤雄太】19日夕の債券市場で長期金利の指標になる10年物国債利回りが一段と上昇(債券価格は下落)し、16年ぶりに5%を突破した。同日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言で金融引き締めが長期化するとの見方が強まった。米国債需給の悪化懸念も根強く、国債売りが続いた。19日のニューヨーク外国為替市場では米金利上昇がドル買いを誘い、対ドルの円相場は一時1ドル=149円98銭まで円安・ドル高が進んだ。ダウ工業株30種平均は続落し、終値は前日比250ドル(0.7%)安の3万3414ドルだった。
19日にニューヨーク市内で講演したパウエル氏は、底堅い経済成長や労働市場の強さが続けば「インフレ(鎮静化)の進展がリスクにさらされ、さらなる金融引き締めが正当化されうる」と語った。10月31日〜11月1日の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送りの可能性が高まっているが、その後の追加利上げの選択肢は残す意向をにじませた。パウエル氏は質疑応答で「金融環境が引き締まっているのは確かだ」としつつ、米経済の粘り強さを踏まえると「いまは引き締めが強すぎるとは思わない」とも述べた。こうした発言から、FRBが高金利環境を長く維持するとの見方が改めて広がり、長期金利にも一段の上昇圧力がかかった。 今夏以降の長期金利の上昇は米国債の格下げや政府閉鎖を巡る米議会の混乱など、財政運営の信認低下に根ざしている部分もある。バイデン政権の財政支出増で財政赤字が膨らみ、穴埋めの国債発行が増えていることも国債需給の悪化につながっている。