終戦後の東京で、闇商売でのし上がり「六本木の帝王」と呼ばれた二コラ・ザペッティというアメリカ人がいる。彼はどのようにして東京の闇社会を牛耳ったのか。作家のロバート・ホワイティ…|BIGLOBEニュース
“犯罪的策略”の絶好のチャンスがめぐってきたのは、都庁の役人が彼のところにひょっこり現れたときだ。道路拡張のために、最初のレストランの敷地を譲ってほしい、移転にあたって店主がこうむる損害は、すべて都が負担するという。まず、近所のナイトクラブのホステスたちを雇って、客足のとだえる昼間の時間帯に、店内の空テーブルをすべて埋めさせた。こうしておけば、調査にきた役人に、つねに満員盛況、という印象を与えるだろう。ホステスたちは毎日、テーブルで爪の手入れをしながら、道路公団の視察員が現れるのを待った。「きたないやり方だし、法律にも違反してるさ。だけどみんな似たようなセコいことをやってたんだ」彼らは「ピザ・トースト」と称するまがい物を売り出していた。スライスした食パンにトマトと国産のプロセスチーズをのせ、オーブンで焼いただけの代物だ。しかしザペッティが経営する〈ニコラス〉へ行けば、その半分の値段で、スモールサイズのピザが食べられる。日本人が売っているのは、単なる「グリルド・チーズ・サンドイッチ」にすぎない。ところが彼らはザペッティに、その十倍の値段でピザを売れという。これは不当な価格調整であり、共謀
普通の販売ルートで買えば、輸入品はべらぼうに高い。日本ではトマトソース一缶が、アメリカの五倍はする。豚肉やチーズも同様だ。ザペッティはこうした材料を、海外から大量輸入しようと何度か試みている。ところがそのたびに、わけのわからない規則や法律にはばまれ、許可がおりなかった。たとえば、トマトソースを輸入しようとしたら、役人にこんな寝ぼけたことを言われた。数少ない国内生産者を守るために、市場から外国勢を締めだそうとしているのは明らかだ。輸入品が市場に参入すれば、品質の劣る国内生産物は、たちまち吹き飛ばされてしまうだろう。チーズひとつを例にとってみても、日本は十九世紀に生産をはじめたばかりだから、ヨーロッパの水準にはまだまだほど遠い。
そんな商品に、法外な金額を払わされるのは、もっぱら働きバチのようなサラリーマンや、家計のやりくりに追われる主婦たちだ。そうした消費者のニーズは完全に無視されている。結局のところ、たっぷり政治献金をしてくれるのは、生産者であって消費者ではない。伸びる一方の需要に合わせて、レストランの本店を三百平方メートルほど拡張し、しばらくしてまた三百平方メートルほど拡張した。駐車場を設け、屋上にソーセージのミニ工場を増設した。条例違反だが、かまうことはない。新しいシェフを雇い、スタッフを増やし、六本木じゅうに支店を設けた。横田にピザの冷凍工場を建設し、四トントラック数台で製品をせっせと配達した。ザペッティは毎晩、赤坂や六本木の歓楽街へ、時間の許すかぎり通った。美女を抱かずに眠った夜は一度もない。ときには二人いっぺんに抱いて寝た。ナイトクラブのバーテンダーたちは、好色なガイジンの旦那と、取り巻きの女たちをよく知っているから、彼が店にやってくるたびに、新顔のホステスを差し向けた。
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