映画俳優もディープフェイクに代替される？ 生成AIを巡るハリウッドの交渉が正念場に 最新記事
「役者が受ける影響は、その性質においてほかに比べるものがありません。特に生成AIツールは、役者のイメージや肖像、声のペルソナを再現したり、本来は本人が決してやろうとは考えなかったことをしたりする目的で使用される可能性があります」と、SAG-AFTRAのクラブツリー＝アイルランドは言う。「それが心配なのです」すべての人々と同じように、俳優はパブリシティ権、つまり名前や肖像などの権利によって自分のアイデンティティの無断商業利用から保護されている。こうした保護を強化して今後の契約に「インフォームドコンセント」を追加することで、映画俳優の組合は吸血鬼の例のような搾取的な条項を根絶したいと考えている。一定の種類のAIの利用は開示され、補償されなければならないと主張しているわけだ。に侵害されれば救済措置や補償を求めることができる。ただし、それは結果として生み出される作品が、脚本の複製物か派生物とみなされる場合に限られる。「AIが数百本以上の脚本から学習していたとすれば、そのようにみなされる可能性はあまり高くないでしょうね」と、ヴァンダービルト大学で知的財産とAI法の教授を務めるダニエル・ジャーヴェ
そして、そのような“スクレイピング”行為の対象が俳優になることこそが、タレントの代理人の懸念である。エンターテインメント分野を専門とする弁護士のレイ・ブレチーンは、クライアントの貴重な特性が簡単には識別できない方法で抽出されることを最も心配していると言う。例えば、デンゼル・ワシントンの鋭い力のある演技をプロデューサーがデジタルで再現しながら、彼に対する報酬の支払いを完全に回避する状況を想像してほしい。 「役者との間で交渉されるほとんどの出演契約には、その役者が雇われている作品以外の作品での名前と肖像、演技の使用を制限する条項が含められます」と、ブレチーンは言う。「スタジオがAIを訓練する目的で演技を使用することも、できないようにしたいと考えています」