もし日本が戦争に巻き込まれたらどうなるのか。桜美林大学の加藤朗教授は「国を守るとは、憲法体制を守ること。しかし日本国憲法は自衛隊を否定している。だから日本の自衛官は『日本のために命を捨てる覚悟』を持ちようがない」という。国際地政学研究所の柳澤協二理事長らとの共著『非戦の安全保障論 ウクライナ戦争以後の日本の戦略』(集英社新書)より、一部を紹介する――。
われわれの時代にできるかどうかは自信がありませんけれども、将来的に、後世に残さなければいけないのは、一つは、戦争が回避できるような考え方です。そしてもう一つは、抑止というものを詰めて、詰めて考え、日本の抑止は、国民全員が議論し、行動することだと思います。戦争になったら、最終的には命を投げ出す話ですけれども、それを誰がどこまで実践するのか。
日本人の多くは勘違いしているのではないかと思っています。国防というものを、国民の生命、財産が最優先課題だという見地で捉えている。もちろん、震災、災害のときにそれが重要であることは論をまたないですけれども、本当の意味で国を守るというのは、憲法体制を守ることなのです。憲法は英語ではコンスティテューションと言いますが、それは憲法であり国体という意味です。それを守ることが国防なのです。 国民の生命・財産を守る役割を持っているのは、基本的には警察と消防です。政治家はもちろん、国体を守ることと生命・財産を守ることと、その両方を追求していくでしょう。しかし、そこで最後になったときに、それこそ選択が求められる。国民の生命・財産を犠牲にしてでも国体を守るのかどうかという選択です。
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