岸田文雄首相(自民党総裁)が、党派閥のパーティー収入不記載事件を巡る衆院政治倫理審査会に自ら出向くことを決断したのは、出席者の調整や開催形式が一向に折り合わな…
岸田文雄首相(自民党総裁)が、党派閥のパーティー収入不記載事件を巡る衆院政治倫理審査会に自ら出向くことを決断したのは、出席者の調整や開催形式が一向に折り合わない膠着(こうちゃく)状態を打開するためだ。首相は政治不信の根源でありながら説明責任に後ろ向きな安倍派(清和政策研究会)幹部らの姿勢に業を煮やしてきたが、捨て身の覚悟で政倫審への出席を強く促した形だ。首相は当初から、安倍派幹部らが公開の場で説明責任を果たすよう期待していた。ただ、政倫審への出席や公開は議員自身の意向が尊重されるため、自発的な判断を暗に促すにとどめてきた。26日の衆院予算委員会では「完全な非公開は歴史の中でも1件しかない」と答弁し、周辺は「首相として許される最大限の表現だ」と解説した。
ところが安倍派幹部は公開での開催に難色を示し続けた。同派の西村康稔前経済産業相と二階派(志帥会)の武田良太元総務相は応じる意向を示したが、結局は横並びを意識して腰が定まらず、28日開催の日程調整も不調に終わった。首相はこの段階で、心ひそかに自身の出席を決断した。 首相は野党の出方にもいらだちを強めていた。立憲民主党は政倫審に関する要求を通すため、令和6年度予算案の審議に応じない姿勢を示し始めていた。予算案には能登半島地震の復興に向けた経費も含まれ、看過できる事態ではなかった。首相は28日、与党幹部への電話の後、記者団にも政倫審への出席を表明した。安倍派や二階派の幹部は次々と追随し、野党幹部も「首相は勝負に勝った」と評した。
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