映画やドラマで描かれるキスシーンや性的描写のあるシーンの撮影において、今まで俳優たちの尊厳はきちんと守られてきたのだろうか？
台本に書かれているト書き（登場人物の動作や行動の説明）には、曖昧な表現が使われていることが多いんです。例えば「AさんとBさんが、ここで一夜を過ごす」は、いろんな解釈ができてしまうので、まずは監督の具体的なビジョンを一つ一つクリアにしていきます。「このシーンではキスしますか」「キスをするなら軽いキスですか、濃厚なキスですか」「キスをした後は服を脱がせますか」「洋服の下は何を着ていますか」等々。それから、俳優に監督の意向を伝えて、一つ一つの行動に対して俳優が嫌じゃないかどうかを確認し、同意を取っていきます。
ただ俳優の多くは、最初は「できます」「やります」と答えるんです。特に経験の浅い方だと、「自分なんかがNOとは言えない」と思っていることも。それでは自分の気持ちが置き去りにされたまま撮影が進んでしまうので、私は必ず「できるのはわかっているけど、やりたいかどうかを一緒に考えませんか」と最初に伝えるようにしています。それから、「体のここの部分を触られて嫌じゃないですか」「服を脱いだ下のブラジャーが見えても大丈夫ですが」「お尻の割れ目が見えるのはどうですか」と、具体的なパーツを示しながらブレイクダウンして聞いていきます。NOと答えたら終わりではなく、代案を一緒に考え、最大限のパフォーマンスができるように撮影をサポートしていきます。
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