中国が自国の裏庭ともいえる東南アジアに向ける金を切り詰めると、習近平国家主席とその取り巻きが間違いなく今も夢見ている世界支配はこれまで以上に遠のくことになる →中国が東南アジアから撤退開始、経済問題に直面し
東南アジアにおける中国の経済面での存在感が縮小し始めている。かつて中国はこの地域に最も多くの融資や援助を行っていたが、今日では他国に押され影が薄くなっている。中国が自国の裏庭ともいえる同地域に向ける金を切り詰めると、習近平国家主席とその取り巻きが間違いなく今も夢見ている世界支配はこれまで以上に遠のくことになる。
中国の東南アジアへの政府開発融資(ODF)は、データが入手できる直近の年である2021年に再び減少した。同年のODFは39億ドル(約5630億円)相当で、最も多かった2015年の76億ドル(約1兆970億円)の半分強の水準だ。2010年以降の年平均額である55億3000ドル(約7940億円)をも下回っている。 中国に代わって他国や国際機関の存在感が増している。2015年以降、中国はこの地域最大の単独投資国として全体の25%を占めていたのが、わずか14%にまで落ち込んだ。実際、中国の投資はピーク時から急減し、今ではアジア開発銀行と世界銀行にトップの座を譲っている。 日本は継続的に投資しており、2015年からの累計額は中国にほぼ追いついた。中国の累計投資額は379億ドル(約5兆4690億円)で、そのほとんどが期間の前半に行われた。地道な取り組みにより日本の累計投資額は280億ドル(約4兆405億円)で、韓国もそう劣らず200億ドル(約2兆8860億円)強だ。以下、ドイツ、米国、オーストラリア、フランスの順に多く、各国の累計投資額はそれぞれ85億ドル〜54億ドル(約1兆2265億〜7790億円)となっている。
中国の劇的な投資減は海外における優先順位の転換を反映するものではない。東南アジアは地理的に近く、貿易ルートそして国防の観点からしても中国にとって極めて重要であることに変わりはない。また、マレーシアのように中国の「一帯一路」構想への関わりに消極的な国もあるが、東南アジアの国々が中国マネーから一斉に目を逸らしたわけでもないだろう。むしろ、中国が投資を控えていることは、中国が経済と金融の問題を抱え込んでいることを改めて示している。最近のデータが入手できるようになっても、中国の投資が戻っている可能性は極めて低い。
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