「株式市場は(実体)経済そのものではない」──。この「自明の理」が今ほど適切に当てはまる局面は滅多にない。ごく一握りの超大型銘柄が米国株全体を最高値に押し上げている半面、多くのセクターは出遅れ、経済成長は弱まっているように見受けられるからだ。
<バフェット指数>現時点で算出すると、用いる数字次第で米国株の時価総額は年間GDPの1.5倍から2倍近くという範囲になり、歴史的に見ると非常に割高だ。同指数では15年にわたって中央銀行が実施してきた数兆ドル規模の量的金融緩和が、実体経済よりも資産価格をはるかに潤してきた点も考慮されない。
ただ、エラスムス大学准教授のローレンス・スウィンケルス氏と、ウィーン大学のトマス・ウムラウフト氏が2022年にまとめた論文によると、バフェット指数は荒っぽいものの、実体経済と株式市場に対する投資家心理を測定する直接的な方法だ。 ロベコの調査部門エグゼクティブディレクターも務めるスウィンケルス氏とウムラウフト氏は、資本市場により多くの経済資源が配分されるとともに、株価は実体経済の活動において同等の増加が発生しなくても押し上げられ、期待リターンは低下するという単純な関係性を主張している。<日本株を支える実質マイナスの金利と円安>米国株全体のバリュエーションは高いかもしれない。だが、1999─2000年当時や、ほんの3年前の高値には程遠い。金利見通しも、米連邦準備理事会(FRB)の次の一手は利下げになりそうなのでプラス要素で、企業と家計のバランスシートは比較的健全だ。さらに日本企業は円安と過去30年間で最高の緩和的な金融環境という大きな追い風を受けている。だから、日本経済が統計上の景気後退に陥っていても、多くの投資家が日本株に強気となっているのも不思議ではない。
ブラックロックのマルチ資産戦略ソリューションズ・グループのグローバル戦術資産配分チームでポートフォリオマネジャーを務めるトム・ベッカー氏は「われわれの株式投資において最大の買い持ちは日本だ」と語り、日本が「債務/デフレのわな」を抜け出して円安が企業業績に恩恵を与え、企業が利益率を再び高められるという構造的なストーリーを好感していると説明した。 しつこい金利と利回りの上昇や、失業率の急激な高まり、あるいは金融面のショックが起きれば、事態はすぐに悪化しかねない。それでも今のところ、先進国全般の株式市場が最適環境にあるという状況が、維持されそうな様相を呈している。
South Africa Latest News, South Africa Headlines
Similar News:You can also read news stories similar to this one that we have collected from other news sources.
【コラム】“絶滅収容所”のチェリスト 50年間の沈黙~ホロコースト生存者が今、ガザの惨劇に思うこと~【ロンドン子連れ支局長つれづれ日記】|日テレNEWS NNNかつて600万人が犠牲になったナチス・ドイツによる大量虐殺「ホロコースト」。そのホロコーストを生き延びたユダヤ人の女性チェリストは今、パレスチナ自治区ガザ地区で起きていることに何を思うのか。“絶滅収容所”を生き抜いた98歳の女性が語ったこととは。 (NNNロンドン支局 鈴木あづさ)
Read more »
コラム:「何もしない」欧米中銀が抱える火種、脆弱セクターにリスクも欧米の中央銀行は、オランダ語で「何もしない」を意味する「ニクセン」を実践している。
Read more »
◆コラム 【最終回】大相撲よ…今日までの深謝と明日への憂慮 若林哲治の土俵百景身の程知らずにこのコラムもどきを始めたのは、2008年だった。折しも相撲界は、07年の時津風部屋傷害致死事件に始まり、次々と大型不祥事が起きていた。07~11年はのちに「暗黒の5年」といわれる。
Read more »
コラム:GDP4位転落の日本、金融正常化の寸前で複雑な展開も正常化に向けた日本経済の旅が、不本意な展開を迎えてしまった。15日に発表された2023年の国内総生産(GDP)速報で、日本はドル換算で世界第3位の地位をドイツに譲った上に、予想外のマイナス成長となりテクニカル・リセッション(景気後退)に直面した。
Read more »
コラム:日米金融政策の転換とドル/円の行方=植野大作氏われわれが間もなく目撃することになりそうな日米の金融政策の方向転換が今後のドル/円相場に与える影響について、現時点で植野氏が考えているメイン・シナリオとリスク・シナリオは何か。
Read more »
【コラム】「能登半島地震に思う」 新潟県元副知事・中国運輸局長 益田浩はじめに あらためまして、能登半島地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方々への御見舞を申し上げます。 被災された地域の一刻も早い復旧復興を祈るばかりです
Read more »