メタ・プラットフォームズ(META.O)は業績が改善しつつあるが、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者（ＣＥＯ）はいまだに「自制心」を完全には証明し切れていない。２５日に発表された好調な四半期決算は、メタが経費抑制に努める中で広告事業が回復しているという確信を強める材料になるに違いない。しかしメタのバーチャルリアリティー（仮想現実）事業での野望には、まだ財務面で何らかの厳しい「現実」が控えているかもしれない。
メタ・プラットフォームズは業績が改善しつつあるが、ザッカーバーグＣＥＯはいまだに「自制心」を完全には証明し切れていない。写真は６月にパリで開催されたイベントで撮影（２０２３年 ロイター／Gonzalo Fuentes）は業績が改善しつつあるが、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者（ＣＥＯ）はいまだに「自制心」を完全には証明し切れていない。２５日に発表された好調な四半期決算は、メタが経費抑制に努める中で広告事業が回復しているという確信を強める材料になるに違いない。しかしメタのバーチャルリアリティー（仮想現実）事業での野望には、まだ財務面で何らかの厳しい「現実」が控えているかもしれない。
メタは長らく低迷していた売上高が今夏に２桁成長に回帰。この回復ぶりから予想された通りに、第３・四半期（７─９月期）決算は売上高が前年同期比２３％増の３４０億ドルに跳ね上がった。前日にはライバルのアルファベット も好決算を発表しており、企業の間でオンライン販売への抵抗が再び薄れていることがうかがわれる。もっともメタにとってのハードルは高い。ＬＳＥＧがまとめたアナリスト予想によると、２０２４年も同程度の力強い成長が予想されており、アナリストの目標株価中央値は３７５ドルと、足元の水準から２５％も高い。 金利上昇に伴いハイテク企業の評価が見直されたことで、ザッカーバーグ氏はメタの財布の紐を引き締めた。その甲斐があって、同社の評価額は今年に入ってから改めて１４０％上昇し、同業他社や市場全体を大きく上回った。ＬＳＥＧのデータによると、過去１２カ月の利益に基づくＰＥＲ（株価収益率）は約３４倍と過去５年平均を３０％上回っている。「効率化の１年」は概ね実を結んだ形だ。ただ、メタバース部門のリアリティー・ラボは第３・四半期にさらに３７億ドルの損失を計上した。ザッカーバーグ氏は自信を取り戻しつつある。メタは２４年の総費用を今年の見通しの上限を１１％上回る最大９９０億ドルと見込んでいる。また従業員の４分の１近くを減らした人員削減の方針を見直し、新規採用を再開する予定。さらに売り上げを生み出す明確な道筋のない、新しい人工知能（ＡＩ）ツールにも資金を投入するつもりだ。
新たな課題も待ち受ける。メタに対する法律や規制面の圧力は高まっており、それは米カリフォルニア州など３３州が２４日にメタ傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」の中毒性が若者のメンタルヘルス（心の健康）の危機を助長しているとして訴訟を起こしたことからも明らかだ。長引く景気の不安定さも広告事業の回復を脅かしている。ザッカーバーグ氏は逆境に直面する中、ＡＩへの熱意を抑えることができなければ、本当に自制心があるのだということを示せない。