【カーブ路線高速化の立役者「振り子車両」名車列伝】 381系から海外まで、車体を傾けて走る列車たち 東洋経済オンライン
振り子式車両(車体傾斜式車両)とは、曲線通過時に車体をカーブの内側に傾斜させることで遠心力を軽減し、高速運転時の乗り心地向上を図った鉄道車両だ。日本では国鉄時代の1970年に591系試験電車によって試運転が始まった。その結果誕生した日本初の営業用振り子式電車が381系で、1973年の中央西線電化開業にあわせて特急「しなの」としてデビューした。
車体傾斜の方法としては遠心力による自然振り子式のほか、制御付き自然振り子式、強制車体傾斜式、空気ばね式車体傾斜など複数のシステムが存在している。日本の車体傾斜式車両は制御付き自然振り子式が多かったが、近年は構造が簡易な「空気ばね式車体傾斜」が主流となっている。 381系は、今も最後の現役国鉄型特急電車として特急「やくも」(岡山―出雲市間)で活躍を続け、鉄道ファンの注目を浴びているが、2024年には新型車が登場する予定で、近く引退の運命にある。この機会に、国内外の振り子式(車体傾斜式)車両の歴史を振り返ってみよう。筆者は大阪から381系「しなの」に乗車したことがある。京都から米原にかけては直線区間を高速運転で快調に走行し、米原を過ぎて関ケ原へのカーブと勾配区間を進む際は柏原からの急カーブでも速度をほぼ維持したまま通過し、遠心力による身体の移動もほとんど感じなかったことをよく覚えている。381系「しなの」は木曽谷の連続カーブ区間では一般車両より時速20kmアップの運転性能を発揮したという。
「しなの」で成功を収めた381系はその後、1978年10月の紀勢本線和歌山―新宮間の電化に合わせ、それまで気動車特急だった「くろしお」に投入された。筆者は前年に4両編成の試運転列車を阪和線山中渓のカーブ区間で取材している。さらに、1982年の伯備線電化の際にも気動車特急だった「やくも」の置き換え用として投入された。
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