【浦和レッズ】レジェンドとも生え抜きとも違う…岩尾憲と酒井宏樹が向き合う「浦和レッズで闘う」ということ【後編】
柏で定位置を掴んだのは11シーズンだから、主力としてプレーしたのは1年半。その後、ドイツのハノーファーで4シーズン、フランスのマルセイユで5シーズンを戦った。安住の地を求めず、激しい生存競争を勝ち抜いてきたからこそ今の自分がいる、との思いが酒井にはある。
「僕は日本人として、日本のチームにいると、自分がマンネリ化してしまいそうで怖いんです。ヨーロッパでは契約期間に自分のやるべきことを全うし、その結果として、契約延長や他クラブからのオファーを勝ち取ってきた。そのやり方を最後までやり抜くだけだと思っています。だから浦和レッズでも将来のことは考えず、パッと来て、パッと仕事をして、去るタイミングが来たらパッと去る。そういう助っ人の感覚で2年半やってきました」「実際、この夏にもオファーが来ました。ただ、僕は浦和でやり遂げたいと思ったので、断りました。もちろん、ここを我が家だと感じ、少しでも長くここにいたいという考え方を否定するつもりはありません。ただ、自分には自分のやり方がある。プレースタイルも同じでガッと行って、ガッとやる。そのエネルギーがなくなると僕は貢献できない。決して長くない契約期間で、自分がどれだけ貢献できるか、役割を全うできるか。それが僕のスタイルなんです」「世の中にはプロセスを認めてくれる人もいるじゃないですか。十分な結果が得られなかったとしても、正しい道を歩んでいると感じられたら、時間を与えてくれる。今まではどちらかと言うと、そっ
でも、浦和はそうじゃない。『4年も5年もプロセスに時間をかけませんよ』という状況の中でいかに結果を出すか。それが浦和の文化だと思うし、それができる人だけが求められる。今はまだ、ファン・サポーターも含めて認めてもらえているという感覚はありません。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を獲ってもそうなんだから、結果を出し続けないと、これ以上の感覚を得られないんだろうなっていう危機感があります」だが、例えば、鹿島アントラーズ時代の興梠慎三はチャンスメーカーの色が濃かったが、浦和に来て、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督に1トップで起用され、レッズのファン・サポーターからゴールを求められ、それに応えたいという思いが、“ストライカー・興梠慎三”を作っていった。「慎三さんのように自分の想像を超えた自分が生まれる、みたいなことは起きると思うし、自分の中で少しずつそれが起きている感覚も得ています。良薬口に苦し、というか。本当に自分がもうひとつ、ふたつ物語を作っていくなら、ここで逃げたら終わりだなって。逃げなければ、何かを作れそうだという根拠のない確信みたいなものがあります」11月4日に国立競技場で行われるYB
「決勝はただでさえ堅いゲームになりがちですが、相手が福岡ということで一層堅いゲームになるかもしれませんね。カップ戦のファイナルは、どっしりしているチームが勝つと思います。慌てず、普段どおりのプレーができる選手たち、それでいて局面で普段以上のパワーが出せる選手たちが勝つ。リーグとは違うので、スイッチを切り替えられるかどうかも大事になる」「並々ならぬ準備と気持ちで来るでしょうからね。簡単に勝てるような試合にはならないし、非常に緊張感の高い、テンションの高い試合になると思います。ただ、自分の人生の文脈のなかで、福岡には申し訳ないですけど、ここは絶対に落とせない」「正直、今年は無理しすぎましたね。でも、燃え尽き症候群って言いますけど、プロなら燃え尽きないといけないと思っていて。来年のために余力を残している選手に来年はない。
僕が浦和に加入した理由のひとつに、ACLで優勝したいという思いがありました。その目標を叶えられたのも、サポーターのおかげ。彼らなくして、ACL優勝はなかった。だから、ルヴァンカップで優勝することで、少しでも恩を返したい。それにルヴァンカップは自分が唯一手にしていないタイトルなので、絶対に獲りたいです」「やる以上は、歴史を動かすというか、岩尾がいたから浦和が変わったと思われたい。目に見えるものを作ろうとするのが人生だと思うし、それくらいの気概でやらないと、観ている人も、世の中も驚かないし、喜ばないと思うので、だからこそ、獲りたいですね。それが、仕事をした、っていうことだと思います」
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