巨人・秋広優人内野手（２１）が２１日、「みやざきフェニックス・リーグ（Ｌ）」の阪神戦に「４番・左翼」で出場し、２安打１打点で１９日の合流から３試合連続マルチ安打を放った。課題の左腕からも安打を放ち、
３戦の打率は５割４分５厘。収穫の秋となっている若武者を巨人野手担当の田中哲記者が「見た」。大きく飛躍したシーズンを終え、秋広はフェニックスＬの舞台では格が違うかのような結果をまたもや示した。まずは０―１の６回１死一、二塁。イニング前に橋本２軍打撃コーチから野手陣への助言があり、「ちょっと投手寄りに立ちました」と打席での位置を前の２打席から変えた。そして右腕・茨木の初球、１４１キロ直球を左前へはじき返し、同点適時打。一挙５得点の猛攻へいざなった。課題の一つにも収穫を得たのは５―１の７回１死走者なし。１ストライクから左腕・川原の直球に反応すると、打球は中堅手が差し出したグラブの左で弾み、左中間二塁打。１９日の合流から３試合連続マルチ安打で、打率は５割４分５厘。試合中には萩尾から「オーラ出てるよ」という声も飛んだが、まさにそうだった。
今季は、右腕相手に３割６厘だった一方で、左腕には２割１分。先発が左の際はスタメンを外れることも何度もあった。「課題でもあったので、１本出て良かったです。真っすぐと変化球の、軌道のイメージはしていました」とこれまでの対左も踏まえて頭を整理しながら放った一打。来季へ向けて上々の、シーズン後初の左腕との対戦だった。 初めて本格的に１軍で歩んだシーズン。打率は７月下旬まで３割以上を保ったが、９月には２割７分台まで低下した。疲労の自覚こそなかったが、亀井打撃コーチ（現外野守備兼走塁コーチ）からは「疲れもある」と指摘も受け、打撃面での修正に励んできた。最終戦を終えて休養日もあり、回復した部分も多少はあるだろう。それは鋭い打球にも表れていたようにも感じ取れた。９月に２キロ落ちた体重も課題と自認する。オフに再び増量し、さらなる進化も遂げるはずだ。
阪神の１軍は王者としてＣＳを勝ち抜き、日本シリーズを待つ最中だが、“裏・伝統の一戦”での勝利。今季阪神戦は６勝１８敗１分けと大きく水をあけられ、フェニックスＬとはいえ、燃えるものもあったのかもしれない。「相手チームのああいう光景を見ると悔しい」と９月１４日には眼前で許した胴上げを目に焼き付けた。その悔しさも胸に、来季Ｖ奪回の力になるべく己を磨き続ける。（田中 哲）