【エンタなう】石井一彰×蝶花楼桃花で紡ぐ男と女の深い物語 zakdeskより 朗読劇「ラヴ・レターズ～２０２３ Ｓｐｒｉｎｇ Ｓｐｅｃｉａｌ～」
１９８０年８月の日本初演以来、のべ５１４組がつないできた朗読劇の名作「ラヴ・レターズ」（４月、東京・ＰＡＲＣＯ劇場）。私が見た回は、ミュージカル俳優で、「科捜研の女」にレギュラー出演中の石井一彰と、昨年真打昇進を果たした落語家の蝶花楼桃花。棲む世界の違いが、物語そのままに新鮮だった。つかず離れず。決定的に結ばれるチャンスだった夜にも友達以上にはなれない歯がゆい思い。それぞれ結婚し、まったく別の道へ。海軍を経て弁護士となり上院議員まで登りつめるアンディー。アートの世界で行き詰まり、精神的破綻をきたすメリッサ。オトナ同士になってからの逢瀬も長くは続かず…。
実直で、はみ出せないアンディの戸惑い。感情の揺らぎが魅力であり致命的なメリッサの弱さが声に表情を描く。違うから惹かれ合う。男と女のあいだには、「深くて暗い川がある」と歌った野坂昭如を思いだした。桃花の見せた涙は、人情噺とは別物の哀しい色だった。
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