大きな岩の下からたくましく葉を広げて咲くタンポポは「怪力タンポポ」、コンクリートの割れ目から出てきて途中で直角に曲がった低木は「路上盆栽」——。アカウント名「路上園芸学会」の…|BIGLOBEニュース
大きな岩の下からたくましく葉を広げて咲くタンポポは「怪力タンポポ」、コンクリートの割れ目から出てきて途中で直角に曲がった低木は「路上盆栽」——。アカウント名「路上園芸学会」の SNS には、道ばたの植物の写真とともにシャレの利いた一言が添えられている。一緒に歩き始めてすぐ、「マニア」の一面があらわに。「ここ見てください!」と指さした先には、レンガ造りの壁の下から顔をのぞかせたカタバミ。どこにでも生える雑草だ。でも、村田さんは「泥とホコリの多い場所で、この草がどうやって生きてきたのか。想像するだけでワクワクするんです」と声を弾ませた。「人工物ばかりの中で抑えきれない野性味があふれている。そんな路上の植物に、人間社会になじめない自分を重ねてしまうんです」。歩く村田さんの目線は、植物を求めてずっと斜め下を向いていた。営業を担当していたが、無機質な数字とばかり向き合う日々につらさを感じ、08年末に退職。この頃、疲れ切っていた自分を癒やしてくれたのは、電車の窓から見えた「緑」だった。植物を使ったデザインの仕事に就くため、専門学校に通い始めた。
当時住んでいた神奈川県茅ヶ崎市内を歩いていると、個人商店の軒先にあったプランターが偶然視界に入った。どこにでもあるプランターに生える雑多な草花の真ん中に鎮座していたのは、信楽焼のタヌキ。計算された美ではないが、荒れているのとも違う。自然と共存している姿に「肩の力が抜けていていいな」と思わず見入っていた。路上の植物は、近くに暮らす人たちの「気配」を感じられるから好きだ。「誰かが置いた鉢植えが割れて根付いちゃったのかな」と妄想するのも、路上園芸のめで方の一つだという。村田さんは2009年頃から、道ばたで見つけた植物の写真を知人に見せたり、知り合い向けのライブ配信で紹介したりしていた。ただ、どこが面白いポイントなのかうまく言葉で表現できず、周りからも「何が楽しいの?」と聞かれる始末だった。
14年のある日。通っていたライブハウスのバーで、タロット占いを見つけた。500円を払って「どうしたら路上植物の面白さが伝わるでしょうか?」と尋ねると、女性占い師は「写真の撮り方や添えられたコメント次第で面白いか決まるわよ」と返してきた。 「占い関係ないじゃん」とも思ったが、何となくその日のうちに、X(旧ツイッター)とインスタグラムに、「路上園芸学会」という名のアカウントを作った。そして、1日3枚をノルマに、写真にコメントを添えて投稿する「一人大喜利大会」の修業を始めた。「私と同じように路上植物を楽しむ人は世界中にいるんだ」とうれしくなり、修業の道にのめり込んでいった。ちなみに、学会が発足した約10年前に副会長を務めていた夫は、最初に出会った信楽焼のタヌキの方に魅せられて脱会。今では、会員数100人を超える「日本たぬき学会」の会長を務めている。
そんな夫やSNSでつながったマニアたちとよく行くのが街歩きだ。同じ場所を歩いても、見ている場所はそれぞれ違うため、100メートル進むのに、1時間かかったことも。でも、この街歩きは、遅ければ遅くなるほど発見が多くて楽しい。どこの道ばたにでもありそうなものをはんこにして発売。組み合わせれば、お気に入りの路上園芸が再現でき、ちょびひげのおじさんや室外機、やかんなどの絵柄がかわいいと人気だ。路上園芸の魅力を伝える新たなアウトプットの形を手に入れた。ネタ探しの時、周辺にいる事情通に話を聞くのも面白い。例えば、都内の大通り沿いで街路樹と並び立つジャカランダの巨木。6月頃に咲く紫色の花は地元で愛され続けているが、「近所の人が数十年前に個人的に植えた」と聞いて驚いた。米屋の店先にずらりと並ぶ鉢植えの中に、常連客が引っ越す際に託した鉢植えも交ざっているという話には、受け渡し場面を妄想してほっこりした。こんな活動をしながら実は、サボテンを枯らしてしまうほど植物を育てるのが苦手だ。特段植物の名前に詳しいわけでもない。でも、路上園芸は「なんだかほっとできる風景」で、肩肘張らないところこそが魅力という。
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