【新着】「なぜこんなにも面白く、パワフルで魅力的なのか」韓国文学翻訳家・斎藤真理子がひも解く、物語の裏側にある韓国の姿
近年、韓国文学が続々と翻訳・出版されている。2018年に発売された『82年生まれ、キム・ジヨン』は日本でも20万部を売り上げるヒットとなり、一種の社会現象にもなった。『アーモンド』は2020年本屋大賞の翻訳小説部門で1位となり、大きな話題に。そのほか、『フィフティ・ピープル』、『保健室のアン・ウニョン先生』、『カステラ』、『ピンポン』、『菜食主義者』など、韓国文学は日本で多くの読者を獲得している。読者層も様々だ。海外文学ファンだけでなく、『キム・ジヨン』や『アーモンド』は「普段は小説を読まない」という人にも広がった。斎藤は『キム・ジヨン』の翻訳など、多くの韓国文学の翻訳で知られている。そんな斎藤が韓国文学の魅力をふんだんに語ったのがこの本だ。「だが少し近寄ってみれば、植民地にされた経験、朝鮮戦争と南北分断、軍事独裁政権による強権支配と、たどってきた歴史は大きく違う。朝鮮戦争はあくまで『休戦』状態にすぎず、和平がもたらされたわけではない。現在の韓国の文化コンテンツに見られる敏捷で聡明な繊細さは、このような重い歴史をくぐり抜けた足腰に支えられているといってよい。本書では、この足腰部分の解剖
「中上健次は、一九八〇年にソウルで行われた尹との対談の中で、朝鮮戦争について『ああ、なんでこんな大事な大きな悲劇を知らなかったんだろう』と述べた。このナイーブな言葉は、韓流ドラマやK-POPが日本中に行き渡った今でも、あまり変わらない響きを持っているのではないだろうか」(208頁) この指摘はその通りだと思う。日本で「戦争」といえばアジア・太平洋戦争を指すし、その次の戦争といえばベトナム戦争だろう。朝鮮戦争についてはおぼろげなイメージしかない人が多いのではないだろうか。ただ、日本が例外ではなく、アメリカでは朝鮮戦争は「忘れられた戦争」と呼ばれている。韓国文学を真に理解するためには、朝鮮戦争を理解することが必要だという斎藤の指摘は心に留めておきたい。韓国文学を読み始めた人、韓国文化に興味を持つ人には一度この本を読み、背景となる歴史的事象とともに韓国文学を読んでみることを勧めたい。これまでには知らなかった、新たな隣国の姿が見えてくるはずだ。
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